シングルマザーが対象の手当一覧!母子家庭で子ども2人や3人がもらえる総額はどれくらい?

シングルマザーの手当

シングルマザーになって間もない人や今後なる予定がある人は、自分の稼ぎだけで子どもを養っていけるか不安に感じるケースも多いです。

自分の収入だけで養うのが難しいときは、シングルマザーが対象の手当や制度を活用すると無理なく生活できる可能性があります。

シングルマザーが対象の手当について詳しく知りたい人に向けて、以下の内容をまとめました。

  • シングルマザーが対象の手当や制度一覧
  • シングルマザー以外の子育て世代がもらえる手当や制度一覧
  • ひとり親におすすめの減免や割引手当一覧

シングルマザーがもらえる手当や利用できる制度は、所得制限により金額が異なるケースがあるため、条件と金額を確認しましょう。

シングルマザーを含めた全子育て世代が対象の手当もあるので、ひとり親だけがもらえる手当とともにチェックしておくのが大切です。

手当以外に、減免や割引制度を利用できる可能性もあり子育ての手助けとなります。

自治会によって扱っている子育て世代向けの手当や制度が異なるので、自分が住んでいる地域の情報を調べて条件を満たしていれば申請しましょう。

シングルマザーがもらえる手当や制度は以下の通りです。

Contents

シングルマザーがもらえる手当や制度一覧!所得制限やもらえる条件をチェック

シングルマザーがもらえる手当や制度は主に以下の通りです。

手当や制度 内容
児童扶養手当 所得制限内なら子どもの人数に応じてもらえる
児童育成手当 東京都在住の人がもらえる
ひとり親家庭住宅手当 月1万円以上の家賃を払っている人がもらえる
ひとり親家族等医療費助成制度 健康保険自己負担分を助成してもらえる
遺族年金 配偶者の死亡によりもらえる

児童扶養手当は所得制限内のひとり親家庭がもらえる手当で、子どもの人数に応じて金額が決まります。

児童育成手当は東京都に住んでいるシングルマザーが対象で、児童扶養手当と同じく所得制限内でなくては支給されません。

ひとり親家庭住宅手当は、家賃月1万円を超える部分について、月額1万5,000円を限度に支給してもらえる制度です。

ひとり親家族等医療費助成制度は、医療保険の対象となる医療費と薬剤費を助成してもらえます。

配偶者が死亡しシングルマザーになったときは、遺族年金の受給対象となるケースがも。

シングルマザーがもらえる手当を利用したい人は、受け取れる条件や金額をチェックして各市区役所に相談しましょう。

所得制限内のひとり親家庭がもらえる児童扶養手当

ひとり親家庭で所得制限内なら児童扶養手当がもらえます。

児童扶養手当は、18歳に達する日以後の最初の3月31日まで、または政令で決められた程度の障害のある20歳未満がいる家庭に支給される手当です。

児童扶養手当を受けるには離婚が成立している、または児童が父親から1年以上遺棄されているといった条件を満たす必要があります。

平成24年8月からは父または母が裁判所から保護命令を受けた児童も条件の1つです。

児童扶養手当は所得制限内ではないと支給されず、さらに全額支給と一部支給と前年の収入に合わせて支給される金額が異なります。

支給されるタイミングは奇数月で、2ヶ月分を年間6回に分けて口座に振り込まれるルールです。

前年の所得が制限内なら全額支給

前年の所得が制限内なら児童扶養手当の全額支給の対象です。

児童扶養手当は以下の通り子どもの人数によってもらえる金額が異なります。

時期 もらえる金額(1ヶ月あたり)
〜令和7年3月 全額45,500円
2人目10,750円
3人目以降6,450円
令和7年4月〜 全額46,690円
2人目11,030円
3人目以降10,750円

令和7年4月からは1人目は月1,190円、2人目は月280円、3人目以降は月4,300円増額されています。

例えば子どもが2人いれば月57,720円、子どもが3人いれば月68,470円の受け取りが可能です。

全額支給の対象となる所得限度額は以下の通り。

扶養する児童数 収入ベース 所得ベース
これまで 令和6年11月分〜 これまで 令和6年11月分〜
0人 122万円 142万円 49万円 69万円
1人 160万円 190万円 87万円 107万円
2人 215.7万円 244.3万円 125万円 145万円
3人 270万円 298.6万円 163万円 183万円
4人 324.3万円 352.9万円 201万円 221万円
5人 376.3万円 401.3万円 239万円 259万円

令和6年10月以降の支給では、収入ベースだと児童数が1人なら30万円、2〜4人なら28.6万円限度が増額されています。

限度額のハードルが下がったため、令和6年10月分までは収入が少し限度額を超えていた人でも全額受給できるケースも。

児童扶養手当をもらいたい人は、前年の収入と扶養している子どもの人数による限度額を照らし合わせて全額支給の対象か確認しましょう。

所得制限超過でも支給される一部支給

所得制限を超えていても、児童扶養手当が一部支給される可能性もあります。

児童扶養手当の一部支給でもらえる金額は以下の通りです。

時期 もらえる金額(1ヶ月あたり)
〜令和7年3月 45,490〜10,740円
2人目10,740〜5,380円
3人目以降6,440円~3,230円
令和7年4月〜 46,680〜11,010円
2人目11,020〜5,520円
3人目以降10,740円~5,380円

令和7年4月から1人目は月270〜1,190円、2人目は月140〜280円、3人目以降は月2,150〜4,300円増額されました。

扶養している児童数が2人なら月57,700〜16,530円、3人なら月68,440〜21,910円の受給が可能です。

一部支給となる前年の所得限度額は、以下の通り令和6年11月から変更されています。

扶養する児童数 収入ベース 所得ベース
これまで 令和6年11月分〜 これまで 令和6年11月分〜
0人 311.4万円 334.3万円 192万円 208万円
1人 365万円 385万円 230万円 246万円
2人 412.5万円 432.5万円 268万円 284万円
3人 460万円 480万円 306万円 322万円
4人 507.5万円 527.5万円 344万円 360万円
5人 555万円 575万円 382万円 398万円

収入ベースでみると、扶養している児童数が1〜5人なら20万円以前よりも上がっており、一部支給でも対象となるシングルマザーが増えたと考えられます。

全額支給の対象外となったときは、一部支給の対象となるか実際の収入と限度額を照らし合わせてチェックしましょう。

参考元:こども家庭庁「児童扶養手当」
参考元:こども家庭庁「「児童扶養手当」に関する大切なお知らせ」

東京都に住むシングルマザーがもらえる児童育成手当

東京都に住んでいるシングルマザーは児童育成手当がもらえます。

支給される期間は、児童扶養手当と同じく児童が18歳に達する日以降の最初の3月31日までです。

以下のいずれかに当てはまる児童を扶養している母または父が対象となります。

  • 父母が婚姻を解消した児童
  • 父または母が死亡した児童
  • 父または母が身体障害者手帳1級から2級程度、もしくは重度の精神障害で常時介護が必要な状況にある児童
  • 父または母が生死不明である児童
  • 父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
  • 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
  • 父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
  • 母が婚姻によらないで出生した児童

一部施設を除く児童福祉施設に入所したときや事実上の婚姻関係があるときは、児童育成手当の対象とはなりません。

支給額は、支給対象の児童1人につき月額13,500円です。

10〜1月分は2月、2〜5月分は6月、6〜9月分は10月に支給されます。

児童育成手当の所得限度額は以下の通りです。

扶養する親族数 所得制限の限度額
0人 360.4万円
1人 398.4万円
2人 436.4万円
3人 484.4万円
4人 512.4万円

扶養親族が1人増えるごとに限度額が38万円加算されるので、扶養親族数が5人なら550.4万円、6人なら588.4万円が限度額です。

老人控除対象配偶者または老人扶養親族は1人につき10万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族は1人につき25万円加算されます。

対象となる人の条件は以下の通りです。

対象 詳細
老人控除対象配偶者 70歳以上の配偶者
老人扶養親族 70歳以上の扶養親族
特定扶養親族 19歳以上23歳未満の扶養親族
控除対象扶養親族 16歳以上の配偶者を除く6親等内の血族と3親等内の姻族

東京都内に住んでいる人は、児童育成手当の受取対象となるか条件をチェックしましょう。

参考元:江戸川区「児童育成手当」

月1万円以上の家賃を払っている人が対象のひとり親家庭住宅手当

月1万円以上の家賃を支払っているシングルマザーは、ひとり親家庭住宅手当で家賃の負担を軽減できます。

ひとり親家庭住宅手当を受け取れる条件は以下の通りです。

  • 20歳未満の子どもを1人で養っている
  • 自分の名義で賃貸借契約により住宅を借りている
  • 所得限度額を満たしている

生活保護を受けている家庭や、地建物取引業者を介さない個人締結による賃貸は対象とはなりません。

支給額は、家賃1万円を超えた額に対して月額15,000円が限度となります。

扶養親族数による所得制限の限度額は以下の通りです。

扶養する親族数 所得制限の限度額
0人 192万円
1人 230万円
2人 268万円
3人 306万円
4人 344万円

扶養親族の人数が1人増えるごとに限度額が38万円高くなります。

支給されるタイミングは4ヶ月おきの年3回で、全額支給されるときは4ヶ月分の60,000円が口座に振り込まれます。

継続して手当を受け取るには、毎年8月1日〜8月末日の間に現況届を提出しなければいけません。

児童扶養手当も同時期に現況届を提出する必要があるので、ひとり親家庭住宅手当の現況届も一緒に提出しましょう。

参考元:浦安市「ひとり親家庭住宅手当」

受診時の健康保険自己負担分を助成してもらえるひとり親家族等医療費助成制度

ひとり親家族等医療費助成制度は、ひとり親家庭の母または父の健康保険自己負担分を助成してもらえる制度です。

以下のいずれかの条件に当てはまる人が対象となります。

  • 児童を監護しているひとり親家庭の母または父
  • 両親がいない児童を養育している養育者
  • ひとり親家庭の児童または養育者に養育されている児童で、18歳に達した日の属する年度の末日(障害があるときは20歳未満)までの人

所得が限度額以上だったり生活保護を受けていたりすると、ひとり親家族等医療費助成制度の対象外です。

助成対象となるものと対象外のものは以下の通りです。

助成対象となるもの 助成対象外のもの
医療保険の対象となる医療費、薬剤費 健康診断、予防接種、薬の容器代、差額ベッド代、紹介状を持たずに受診した200床以上の病院の初診時選定療養費、長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の選定療養費、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づく災害共済給付制度対象のとき、健康保険組合等から支給される高額療養費・附加給付に該当する医療費、他の公費医療で助成される医療費

助成範囲は対象外となるものが多く、入院時の差額ベッド代や招待状なしの受診料は対象ではありません。

ひとり親家族等医療費助成制度が適用されずに多額の医療費がかかってしまうケースを避けるために、事前に対象から外れるものを確認しましょう。

負担割合と1ヶ月あたりの負担上限額は以下の通りです。

世帯別 負担割合 1ヶ月あたりの負担上限額
住民税課税世帯 通院・入院1割 通院:18,000円
年間上限144,000円※1
入院:57,600円※2
多数回該当44,400円※3
住民税非課税世帯 自己負担なし

※1 計算期間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)において、月の外来療養に係るマル親自己負担額の合計が144,000円を超えると、超えた分を高額医療費として助成
※2 世帯合算後(通院含む)の上限額
※3 過去12か月以内に3回以上、上限額に達すると、4回目から多数回となり上限額が44,400円に下がる

住民税の課税の有無で負担割合や上限額が大きく異なります。

住民税非課税世帯なら、通院と入院ともに自己負担なしで受診が可能です。

自己負担上限額を超えたときは領収書を添付して申請書を提出すれば、払い戻しが受けられます。

ひとり親家族等医療費助成制度で医療費の負担が軽減されたとしても、領収書は捨てずに大切に保管しましょう。

参考元:東京都福祉局「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」

母子家庭がもらえる遺族年金

死別によりシングルマザーになったときは、以下の遺族年金がもらえます。

遺族年金や一時金の種類 内容 主な対象者
遺族基礎年金 配偶者が死亡したらもらえる 子どもがいる女性
遺族厚生年金 死亡した配偶者がもらう予定だった厚生年金が支給される 子どもの有無に関係なく受け取れる
寡婦年金 10年以上婚姻関係の配偶者が死亡したときに受け取れる 子どものいない女性
死亡一時金 遺族基礎年金が支給対象外でももらえる 上記の年金が対象外の人または寡婦年金をもらうより金額が高い

遺族基礎年金は国民年金に加入している配偶者が死亡したときに支給されます。

遺族厚生年金は厚生年金保険に加入していた配偶者が亡くなったときにもらえる遺族年金です。

寡婦年金は死亡した配偶者が受け取る予定だった老齢基礎年金の一部が受け取れます。

死亡一時金は保険料を納めた月数に応じてもらえるもので、老齢基礎年金と障害基礎年金を受給しないまま死亡したケースが対象です。

いずれも条件を満たさなければ支給されず、支給額は条件や保険加入期間によって異なります。

配偶者が亡くなってシングルマザーになったときは、どの遺族年金を受け取れるか条件を確認しましょう。

配偶者が死亡したら支給される遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた配偶者が亡くなったとき、子のある配偶者または子に支給される遺族年金です。

以下のいずれかに該当すれば受給の対象となります。

  • 国民年金の被保険者であった人が死亡
  • 被保険者資格を失った後でも、60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいた人が死亡

加えて、下記のいずれかの納付要件が必要です。

  • 死亡日の属する月の前々月までに、加入期間の2/3以上の保険料が納付済みまたは免除されている
  • 令和8年3月31日までに死亡したときは、死亡日前1年間に未納がない

配偶者が死亡しただけでは受給の対象とはならないケースがあるため、加入期間や納付状況を把握しましょう。

子どものいる配偶者に支給するときの金額は以下の通りです。

子どもの人数 基礎額 子の加算 合計 月額
1人 781,700円 224,900円 1,006,600円 83,883円
2人 781,700円 449,800円 1,231,500円 102,625円
3人 781,700円 449,800円+75,000円 1,306,500円 108,875円

配偶者が受給する際、18歳到達年度の末日までの子ども、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害のある子どもと生計を共にしているケースが対象となります。

子どもに支給するときの金額は以下の通りです。

子どもの人数 基礎額 子の加算 合計 月額
1人 781,700円 - 781,700円 65,141円
2人 781,700円 224,900円 503,300円 41,941円
3人 781,700円 224,900円+75,000円 360,533円 30,044円

子どもが受け取るときは、18歳到達年度の末日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の子である必要があります。

配偶者が遺族基礎年金を受給していれば子への支給は停止されるため、不正受給とならないように注意しましょう。

参考元:栃木県ひとり親家庭福祉連合会「遺族基礎年金」

死亡した配偶者が受け取る予定の厚生年金がもらえる遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入していた配偶者が死亡したときに、生計を維持されていた遺族が支給を受けられる遺族年金です。

子のある配偶者や子には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。

以下のいずれかに該当すれば遺族厚生年金の受給が可能です。

  • 厚生年金保険の被保険者が死亡
  • 被保険者期間中に初診日のある傷病で、その初診日から5年以内に死亡
  • 1級または2級の障害厚生年金の受給者が死亡
  • 老齢厚生年金の受給権者、または老齢厚生年金の受給資格期間(原則25年以上)を満たした人が死亡

受給の対象となる人の中には年齢制限が設けられているケースがあります。

死亡した人との関係 受給できる条件
年齢関係なく受給できる
子ども ・18歳到達年度の末日(高校卒業の3月末)までの子
・または20歳未満で障害等級1級または2級の子
・いずれも婚姻していない
父母・祖父母 ・死亡時点で55歳以上
・実際の支給は60歳から
・18歳到達年度の末日(高校卒業の3月末)までの子
・または20歳未満で障害等級1級または2級の子
・いずれも婚姻していない

妻は年齢関係なく誰でも受給できますが、その他の関係の人は受給するのに条件を満たさなければいけません。

支給される年金額は加入期間によって計算方法が異なります。

加入期間 年金額の計算方法
加入期間の全部または一部が平成15年4月前 {(平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入月数)+(平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入月数)}×3/4
平成15年4月以降の加入期間のみ 平均標準報酬額×5.481/1,000×加入月数×3/4

※ 加入月数が300月に満たないときは300月として計算

平均標準報酬月額は、労働者の給料を等級別に示した数字です。

上記の計算式で算出された額が下記の計算式で計算した額を下回るときは、下記の計算式が年金額となります。

{(平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月までの加入月数)+(平均標準報酬額×5.769/1,000×平成15年4月以降の加入月数)}×1.031×0.978×3/4

計算方法が複雑で正確な金額を把握するのが難しいときは、市区役所の遺族年金の担当課に相談しましょう。

参考元:栃木県ひとり親家庭福祉連合会「遺族厚生年金」

死亡した配偶者と10年以上婚姻関係にあれば支給される寡婦年金

寡婦年金は、10年以上の婚姻関係にあり、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めていた配偶者が亡くなったときに支給される遺族年金です。

寡婦年金は子どものいない女性を対象とした年金制度。

配偶者が本来受け取るはずだった老齢基礎年金の4分の3が支給されます。

支給される期間は60歳から65歳に達するまでの間なので、長期間に渡ってもらえるわけではありません。

65歳を過ぎると老齢基礎年金の受給ができるので、生活に困る可能性のある65歳までの期間を支える目的で支給されます。

寡婦年金を受け取るための条件は以下の通りです。

  • 死亡した配偶者が国民年金の第1号被保険者としての納付済期間(免除含む)が10年以上
  • 老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取っていなかった
  • 受給者が配偶者の死亡時点で65歳未満
  • 死亡した配偶者に生計を維持されていた
  • 結婚期間が10年以上継続していた
  • 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない

10年以上の婚姻期間は内縁でも事実婚でも問題なく該当します。

ただし寡婦年金と死亡一時金の両方はもらえず、どちらか一方を選ばなければいけません。

死亡一時金の請求期限は夫の死亡日の翌日から2年以内なので、期限に余裕を持って自分にとって適切な方を選びましょう。

遺族基礎年金が支給対象外でももらえる死亡一時金

死亡一時金は、国民年金の保険料を納めてきた人が年金を受け取る前に亡くなったときに支給される制度で、遺族基礎年金が支給されなくてももらえる可能性があります。

死亡一時金が支給される条件は以下の通りです。

  • 亡くなった人が国民年金の第1号被保険者として、保険料納付済期間が36月以上
  • 亡くなるまでに老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていなかった
  • 遺族が亡くなった人と生計を共にしていた

 
部分的に納付していたときは、以下のように換算して何ヶ月間納付していたか計算する必要があります。

納付割合 換算月
4分の3 0.75ヶ月
2分の1 0.5ヶ月
4分の1 0.25ヶ月

例えば、4分の3納付で36ヶ月以上の条件を満たすには、48回分以上が納付済みであるのが条件です。

支給額は、納付月数に応じて12〜32万円の間で決定します。

寡婦年金と死亡一時金は併給できないので、両方の受給額を比較して自分にとって適切な方を選択しましょう。

参考元:厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第13 遺族年金」

シングルマザー以外の子育て世代ももらえる手当や制度一覧

シングルマザー以外の子育て世代も対象の手当や制度は以下の通りです。

手当や制度 内容
児童手当 全ての子育て世代が子どもの人数に応じてもらえる
医療費制度 最大18歳まで医療費自己負担分を助成してもらえる
特別児童扶養手当 子どもの身体や精神に障害があればもらえる
障害児福祉手当 子どもに障害があり常に介護が必要な家庭がもらえる
生活保護 必要最低限の生活費を保障してもらえる
就学援助制度 就学にかかる費用を援助してもらえる
修学支援新制度 高等教育にかかる費用を支援してもらえる
自治体独自の母子家庭支援制度 各自治体が実施する母子家庭向けの制度
養育費の文書作成をサポートする制度 公正証書の作成をサポートしてくれる

児童手当は全子育て世代がもらえる手当で、子どもの人数が多いほどもらえる金額が高くなります。

医療費制度では最大18歳まで医療費自己負担分を助成してもらえ、自治体によっては無料になるケースも。

特別児童扶養手当は子どもの身体や精神に障害があるときに支給対象となり、障害児福祉手当は子どもに障害がある上で常に介護が必要な家庭がもらえる手当です。

生活保護は子育て世代に関係なく、必要最低限の生活費を保障してもらえます。

就学援助制度は就学にかかる費用、修学支援新制度は高等教育にかかる費用を支援してもらえるので、生計を立てる中で教育費を十分に捻出できるか不安な家庭は必見です。

自治体によっては独自の母子家庭支援制度を取り扱っており、シングルマザーの子育てをサポートしてくれます。

養育費の文書作成のサポート制度は、養育費の強制執行時に必要な公正証書の作成を支援してくれるため、公的な書類作りで不安な人におすすめです。

シングルマザー以外の子育て世代も利用できる手当や制度をチェックして、利用できるか分からないときは市区役所に確認しましょう。

すべての家庭でもらえる児童手当

児童手当は、子育てをする全家庭が生活の安定と児童の健やかな成長を支援する目的で支給される制度です。

0〜18歳の年度末までの間にある児童が支給の対象。

児童手当の支給額は以下の通り児童の年齢によって異なります。

児童の年齢 1人あたりの支給額
3歳未満 15,000円
第3子以降は30,000円
3歳以上高校生まで 10,000円
第3子以降は30,000円

第3子以降とは、上の子から数えて3人目以降の子です。

2024年度から、カウント対象となる兄や姉の年齢上限が18歳年度末から22歳年度末までに延長されました。

ただし上の兄姉も児童としてカウントされるには、実際に世話や生活費を負担している必要があるため、すでに自立して家から離れた子どもはカウントされません。

3歳未満の児童が2人いれば月3万円、3歳未満と3歳以上の児童がそれぞれ1人ずついれば月2.5万円が支給されます。

支給される時期は偶数月で2ヶ月分まとめて支給され、児童扶養手当は奇数月が支給時期なので、一緒に受給すれば毎月手当がもらえる仕組みです。

児童手当は全子育て世代が対象となるため、ひとり親関係なく出生届を提出する際に一緒に手続きを進めましょう。

参考元:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」

最長18歳まで自己負担分を助成してもらえる医療費制度

子ども医療費助成制度は、最長18歳まで医療費の自己負担分を助成してもらえる制度です。

主に健康保険適用の診療や治療が対象となります。

多くの自治体では、0歳〜中学校卒業までを対象としていますが、最近では対象年齢を高校卒業まで拡大する自治体が増えました。

助成制度による自己負担額は自治体によって異なります。

自治体 自己負担額
江戸川区 自己負担なし
岡山市 就学前・小学生:外来・入院ともに無料
中学生・高校生等:外来は1割(自己負担上限額月44,400円)、入院は無料
徳島市 0〜2歳:自己負担なし
3歳以上:通院は原則1月1医療機関につき600円の自己負担金、入院は自己負担なし
鹿児島市 自己負担なし

江戸川区や鹿児島市では、自己負担金が一切かかりません。

岡山市では中学生や高校生は一部金額の負担が必要で、1ヶ月あたりの上限額が決められています

自己負担金額が固定されている例もあり、負担額は自治体により様々です

ただし以下のケースに該当すると助成対象外となる自治体もあります。

  • 生活保護を受けている
  • 児童福祉施設に入所している
  • 里親に委託されている

上限額が定められている自治体では、上限額を超えたときに領収書を提出しなければいけないケースがあるため、医療費の領収書は念のため大切に保管しましょう。

参考元:江戸川区「子ども医療費助成制度」
参考元:岡山市「医療費助成/子ども医療費助成制度」
参考元:徳島市「子ども医療費助成制度の詳細について」
参考元:鹿児島市「こども医療費助成制度」

子どもの身体や精神に障害があればもらえる特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、20歳未満で精神または身体に障がいのある児童を養育している家庭に支給されます。

支給される金額は以下の通りです。

障害等級 支給月額
1級 56,800円
2級 37,830円

1級と2級では月額18,970円の差額があり、障害の程度が軽くなって等級が変更されたときは申告しなければいけません。

子どもが児童福祉施設に入所すると支給対象外となりますが、通所なら問題なく受給が可能です。

原則として4ヶ月ごとに年3回支給されます。

受給資格者本人と、受給資格者の配給者及び扶養義務者の所得制限は以下の通りです。

扶養親族の人数 受給資格者本人 受給資格者の配給者及び扶養義務者
所得額 収入額の目安 所得額 収入額の目安
0人 459.6万円 642万円 628.7万円 831.9万円
1人 497.6万円 686.2万円 653.6万円 858.6万円
2人 535.6万円 728.4万円 674.9万円 879.9万円
3人 573.6万円 770.7万円 696.2万円 901.2万円
4人 611.6万円 812.9万円 717.5万円 922.5万円
5人 649.6万円 854.6万円 738.8万円 943.8万円

所得額は、非課税所得以外の所得から医療費控除や寡婦控除の金額を差し引いたものです。

収入額の目安は給与所得者の控除額を加えた金額を指しているので、個人事業主は毎年申告している所得額と上限額を照らし合わせましょう。

参考元:厚生労働省「特別児童扶養手当について」

子どもが障害で常時介護を必要とする家庭が対象の障害児福祉手当

障害児福祉手当は、精神または身体に重度の障害があり、日常生活で常時介護が必要となる状態に支給されます。

支給を受けるには、以下の条件も満たさなければいけません。

  • 障害児入所施設などに入所していない
  • 障害年金を受けていない

支給額は月額16,100円で、3ヶ月分48,300円が年4回に分けて支給されます。

受給資格者本人と、受給資格者の配給者及び扶養義務者の所得制限は以下の通りです。

扶養親族の人数 受給資格者本人 受給資格者の配給者及び扶養義務者
所得額 収入額の目安 所得額 収入額の目安
0人 360.4万円 518万円 628.7万円 831.9万円
1人 398.4万円 565.6万円 653.6万円 858.6万円
2人 436.4万円 613.2万円 674.9万円 879.9万円
3人 474.4万円 660.4万円 696.2万円 901.2万円
4人 512.4万円 702.7万円 717.5万円 922.5万円
5人 550.4万円 744.9万円 738.8万円 943.8万円

特別児童扶養手当よりも支給額と所得上限額ともに低く設定されており、障害児福祉手当を受給するには少しハードルが高いです。

特別児童扶養手当と障害児福祉手当のそれぞれの受給条件を満たせば、両方の手当が支給されます。

支給対象や目的がそれぞれ異なるため、申請時は事前に必要な情報をチェックしましょう。

参考元:厚生労働省「障害児福祉手当について」

必要最低限の生活費を保障してもらえる生活保護

生活保護制度は生活に困っている人が、健康で最低限度の生活を送れるように支援する制度です。

単なる援助にとどまらず、将来的に自立して生活できる状態を目的としています。

生活保護で受けられる支援は以下の通りです。

内容 詳細
食費・光熱費・衣服代 個人・世帯に応じた基準で支給(母子世帯には加算あり)
家賃 上限の範囲で家賃を実費支給
学用品 子どもの学習に必要な費用を支給
病気や怪我の治療費 医療機関に直接支払い(本人の自己負担なし)
介護サービス費用 介護事業者に直接支払い(本人の自己負担なし)
出産にかかる費用 実費の範囲で支給
就労に必要な訓練や道具 資格取得や職業訓練にかかる費用を支援
葬儀費用  一定の範囲で実費支給

生活保護費は毎月支給されますが、収入があったときは毎月報告して最低生活費との差額が支給額となります。

最低生活費は住んでいる地域や世帯人数によって異なり、厚生労働大臣が定める基準に基づいて計算される仕組みです。

申請後は、資産の有無や親族からの仕送りの可否が調査されます。

就労可能と判断されたときは、生活保護の受給とともに仕事探しの支援やアドバイスも実施。

自分の収入のみで生計を立てられるようになれば、生活保護の支給対象外となり停止となるので、毎月正確な収入を報告しましょう。

参考元:厚生労働省「生活保護制度」

就学にかかる費用を助成してもらえる就学援助制度

就学援助制度は、就学にかかる費用を決められた上限額内で助成してもらえる制度です。

国から各自治体への補助金の予算内で助成する仕組みのため、自治体によっては申請するタイミングが遅ければ今年度分の募集が終了してしまうケースも。

助成対象となる項目も自治体によって異なります。

例えば岡山市の就学援助制度の内容は以下の通りです。

項目 支給金額 支給予定の時期
学用品費(学用品費の購入にかかる経費の一部) 小学校:年額11,630円
中学校:年額22,730円
9月・1月・3月の下旬
通学用品費(1年生を除く通学用品の購入にかかる経費の一部) 小学校:年額2,270円
中学校:年額2,270円
9月下旬
修学旅行費(修学旅行に参加した場合の参加費の一部) 小学校:上限額23,800円    中学校:上限額60,910円 修学旅行実施後
学校給食費 給食費として保護者が負担する経費の実費 給食費の集金に直接振替
新入学準備費(中学校の新入学用品の購入にかかる経費の一部) 年額63,000円 3月中旬(小学校6年生に入学前)
新入学児童生徒学用品費(新入学準備費未受給者のみ) 小学校:年額57,060円     中学校:年額63,000円(新入学準備を受給済だと支給されない) 9月下旬
校外活動費(宿泊なし) 小学校:上限額1,600円
中学校:上限額2,310円
1月下旬
校外活動費(宿泊あり) 小学校:上限額3,690円
中学校:上限額6,210円
1月下旬
通学費 公共交通機関を利用して通学するときの通学費(学区内・通学距離の条件あり) 9月・1月・3月の下旬
医療費 学校病にかかり事前に学校へ申込して渡された書類を医療機関へ持参して治療を受けたときの医療費 9月・1月・3月の下旬(医療機関に直接随時支払)

上記は第1次申請時の支給金額で、第2次申請と第3次申請で変更されるケースがあります。

申請するタイミングで支給時期も異なるため、支給金額だけではなくいつ支給されるか確認しましょう。

岡山市の就学援助制度は以下の通り所得制限が設けられています。

世帯人数 所得額の基準 給与収入額の目安
2人 191.6万円 299.9万円程度
3人 229.6万円 354万円程度
4人 267.6万円 402万円程度
5人 305.6万円 449万円程度
6人 343.6万円 497万円程度
7人 381.6万円 544.4万円程度

シングルマザーでも所得額の基準を超えていれば支給対象とはならないため、各自治体の世帯人数に応じた制限額と実際の所得を照らし合わせましょう。

参考元:文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」
参考元:岡山市「就学援助制度について」

高等教育の授業料と入学費を免除や減額してもらえる修学支援新制度

修学支援新制度は、高等教育の授業料と入学費を免除や減額してもらえる制度です。

令和6年度からは支援する所得世帯の幅を広げ、令和7年度は子ども3人以上の多子世帯の授業料や入学金の無償化が決定しました。

授業料の減免や奨学金を受けるには、所属する学校を通じての申請をする必要があります。

一部の学校では申請受付が1度締め切られているケースもありますが、文部科学省は5月と6月にも申請機会を設けるように要請しています。

申請していない学生も、通っている学校の制度の実施状況を確認した上で相談しましょう。

自治体独自に実施している母子家庭支援制度

自治体によっては、国が実施する制度とは別に独自で母子家庭向けの支援を行っているところがあります。

例えば大阪市ではひとり親家庭が自立するための計画を策定し、安心しながら子育てできる環境づくりを行っているのが特徴。

大阪市で実施している母子家庭向けの支援の一部は以下の通りです。

ジャンル 詳細例
就業支援 ・ひとり親家庭サポーターによる相談
・ひとり親家庭等就業・自立支援センター
・ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金
・ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金
・ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
・ひとり親家庭専門学校等受験対策事業
・ひとり親家庭専門学校等受験対策給付金
・看護学校(准看護師)受験対策講座
・ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
子育て・生活支援 ・保育所等の優先入所
・ひとり親家庭等日常生活支援事業
・市営住宅のひとり親(母子・父子家庭等)住宅入居申込み
・母子生活支援施設の入所
その他 ・母子・父子福祉センター「大阪市立愛光会館」における相談・情報提供
・大阪市ひとり親家庭等の自立支援に関する連携協定
・生活困窮者自立支援事業による相談支援
・大阪市配偶者暴力相談支援センターにおける相談

ひとり親家庭に対するサポートが手厚いため、困ったことがあったときに相談しやすいのが大阪市の魅力です。

自治体によって独自の制度内容は様々なので、まずは自分が住んでいる地域の市区役所で実施中の制度を確認しましょう。

参考元:大阪市「ひとり親家庭等への支援」

養育費の文書作成を支援する制度

離婚時に養育費についてしっかり取り決めたい人は、養育費の文書作成をサポートする制度がおすすめです。

例えば西宮市では養育費の文書作成を支援する制度が実施されています。

西宮市の制度を利用するには、以下の条件を満たさなくてはいけません。

  • 20歳未満の子どもを実際に扶養している
  • 養育費の取り決めにかかる費用を自分で負担した
  • 同じ子どもに対してこの補助金を過去に受け取っていない

2度以上の離婚で同じ子どもについて過去にこの補助金を受け取っていると、制度の対象になりません。

補助される費用は上限5万円で、以下の費用が対象です。

  • 公証人手数料(養育費の内容のみ)
  • 家庭裁判所の調停や裁判の収入印紙代
  • 戸籍謄本の添付書類取得費
  • 郵便切手代(調停の連絡に使用したもの)

ただし弁護士への依頼費用は補助対象となりません。

公正証書で養育費について取り決めたいときは、自治体で書類作成に関する制度を実施しているか確認して、上記の費用の領収書を大切に保管しましょう。

参考元:西宮市「ひとり親の養育費の確保を支援します(養育費確保支援事業)」

シングルマザーが利用可能な減免や割引手当一覧

シングルマザーが利用できる減免や割引手当は以下の通りです。

減免や割引手当 内容
保育料や副食費の無料制度 保育園にかかる費用が無料になる
寡婦控除 死別や離婚後に再婚していない人が所得控除を受けられる
国民健康保険料の免除 前年の収入に応じて本年度の国民健康保険料を免除してもらえる
国民年金の免除 前年の収入に応じて本年度の国民年金を免除してもらえる
JRの通勤定期乗車券割引制度 児童扶養手当の受給者の定期券が割引される
粗大ごみの手数料の免除 粗大ゴミの手数料を規定回数まで免除する
上下水道料金の割引 所得制限内なら水道料金が減免される

保育料や副食費は特別な手続きをしなくても無償化されますが、世帯年収や子どもの人数といった条件を満たす必要があります。

寡婦控除は、死別や離婚してから再婚していない人が対象で所得税が控除される制度です。

国民健康保険料と国民年金は前年の収入が少なければ免除または猶予期間が与えられ、納付負担額を軽減できます。

児童扶養手当を受給している人は、自治体によってJRの通勤定期乗車券割引制度が適用され、通勤時の交通費の節約が可能です。

離婚や死別をきっかけに引っ越すとき、粗大ごみの手数料を全額免除してくれる自治体もあります。

自治体によっては、所得制限内のひとり親家庭を対象に毎月かかる上下水道料金を割引してくれるケースも。

自治体で取り扱っている減免や割引制度が異なるため、自分が住んでいる市区役所で実施している制度をチェックしましょう。

保育料や副食費が無料になる制度

子育て中のシングルマザーは、3~5歳までの全ての子どもを対象として、保育所や認定こども園の利用料が無償になる制度の適用を受けられます。

幼稚園は月額上限25,700円で、対象期間は満3歳になった直後の4月1日から小学校入学前までです。

次の世帯は副食費が免除されます。

  • 年収360万円未満相当の世帯
  • 全ての世帯の第3子以降の子ども

住民税非課税世帯は、0~2歳の子どもも利用料の無償化の対象です。

幼稚園の預かり保育も無償の対象になり、月額1万1,300円まで無料で利用できます。

保育所や認定こども園を利用できていない子どもは、以下の施設の利用料が上限額まで無償化対象です。

  • 認可外保育施設
  • 一時預かり
  • 病児保育
  • ファミリー・サポート・センター事業

保育所に落選したときでも対応できる可能性があるため、諦めず自治体に相談しましょう。

無償化の対象施設は、国が定める基準を満たし都道府県などに届出済みである必要があります。

無償となる上限金額は以下の通りです。

年齢 上限金額
3~5歳児 月額37,000円
0~2歳の住民税非課税世帯の子ども 月額42,000円

0~2歳の子どもでも住民税非課税世帯なら、月額42,000円まで認可外保育施設でも無償で利用できます。

保育施設を利用するときは、利用料が無償化にならないか確認してから申請しましょう。

参考元:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」

合計所得金額が500万円以下の人が対象のひとり親控除

ひとり親控除は、子どもを養育中の合計所得金額が500万円以下のひとり親に対して所得税や住民税の負担を軽減するための税制上の控除制度です。

2020年から新しく創設された控除で、所得税と住民税の控除額はそれぞれ以下の通りです。

税金の種類 控除額
所得税 35万円
住民税 30万円

所得税と住民税のどちらも控除されるため、税金の負担を軽減でき少しでも手取りを確保できます。

婚姻歴の有無に関わらず、配偶者がいない生計をともにする子を扶養している人が対象です。

未婚で子どもを出産した人も対象となり、男女問わず適用されます。

ただし、ひとり親控除は子どもの人数に関係なく、原則1回分のみ適用となるため、子どもが1人の人でも2人以上の人でも同じ金額が控除されます。

会社に勤務している人は年末調整、個人事業主やフリーランスの人は確定申告で扶養控除等(異動)申告書に記載して控除を受けましょう。

前年より収入が減れば国民健康保険料を免除

前年よりも収入が減ったときは、国民健康保険料が免除される可能性があります。

法律で定められた所得基準を下回る世帯に対して、保険料のうち均等割と平等割の軽減が受けられる条件は以下の通りです。

減額割合 所得基準 給与収入
7割減額 43万円以下 98万円以下
5割減額 43万円+被保険者数×29万円以下 197万円以下
2割減額 43万円+被保険者数×53.3万円以下 302万円以下

※世帯の給与・年金所得者が2人以上だと43万円+10万円×(給与・年金所得者数-1)

均等割とは加入者1人あたりの負担分、平等割は1世帯あたりの負担分を指します。

令和4年4月からは、未就学児の保険料負担を軽くするため、均等割保険料の5割が公費で軽減されるルールになりました。

震災や失業のやむを得ない事情で保険料の支払いが難しくなったときは、保険料の減免や納付猶予の対応が受けられるケースも。

健康保険の加入先によって、以下の通り問い合わせ先が異なります。

健康保険の種類 問い合わせ先
市町村の国民健康保険 住んでいる市区町村の保険担当窓口
民健康保険組合 加入している組合または都道府県の窓口

保険料の支払いが難しいときは、加入している健康保険の種類に合わせて問い合わせ先に相談しましょう。

参考元:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

納税が難しいと判断されれば国民年金を免除

経済的な理由で保険料を払うのが難しい人は、本人が申請して承認されれば保険料の納付が免除されます。

免除と猶予制度がありますが、納付猶予を選択すると保険料の一時的な先送りが可能です。

どちらの制度も申請時点から過去2年1カ月以内の期間に、納付期限から2年が経過していない分の申請ができます。

免除の種類と前年の所得基準は以下の通りです。

免除・納付猶予 前年の所得基準
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予制度 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

例えば子どもが1人のときは、前年の所得が102万円以下なら国民年金保険料の全額免除が可能です。

寡婦やひとり親だと所得の基準額が変動するケースもあります。

1月~6月に申請すると前々年所得で判断されるため、前年の所得を基準に判断してもらいたいときは7月以降に申請しましょう。

免除や納付猶予が認められた期間は、将来の年金額や受給資格期間に反映されますが、全額納付した場合よりも受け取る額が少なくなってしまいます。

免除や納付猶予を受けたときの実際に受け取れる年金額は以下の通りです。

免除または納付猶予 〜平成21年3月分のもらえる年金額 平成21年4月分〜のもらえる年金額
全額免除 全額納付したときの年金額の3分の1 全額納付したときの年金額の2分の1
4分の3免除 全額納付したときの年金額の2分の1 全額納付したときの年金額の8分の5
4分の1免除 全額納付したときの年金額の6分の5 全額納付したときの年金額の8分の7
納付猶予 受給資格期間にカウントされるけど年金額には反映されない

全額免除だと全額納付したときの半額しか支給されません。

納付猶予だと保険料の支払いが先送りになっただけなので年金額には反映されませんが、後から支払う必要があります。

免除を受けた人も後から追納すると年金額を増やせるため、一時的に免除または猶予を受けるなら追納も検討した上で申請しましょう。

参考元:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

児童扶養手当の受給者が対象のJRの通勤定期乗車券割引制度

児童扶養手当を受給している人は、JRの通勤定期乗車券割引制度を受けられる可能性があります。

JRの通勤定期乗車券割引制度とは、JRの通勤定期乗車券を3割引で購入できる制度です。

姫路市や大阪市で実施されており、特定者資格証明書と特定者用定期乗車券購入証明書の交付を受けてJRの窓口で定期券を購入する際に提示すれば、割引が適用されます。

普段から電車に乗って通勤している人や、自家用車を持っておらず電車で移動する機会が多い人は、JRの通勤定期乗車券割引制度を活用しましょう。

参考元:姫路市子育て応援サイト「JR通勤定期乗車券の割引制度(児童扶養手当受給世帯)」
参考元:大阪市「ひとり親家庭等への支援」

大きなごみ出しにかかる粗大ごみの手数料を免除

ひとり親世帯や生活保護世帯は、粗大ごみにかかる手数料の免除を受けられます。

粗大ごみの手数料免除を実施している自治体の例は以下の通りです。

自治体 制度の内容
横浜市 年間4個までの粗大ごみの手数料を免除
江戸川区 児童扶養手当受給世帯の粗大ごみの手数料を免除
府中市 事前に予約した品目分の粗大ごみシールを受け取り手数料を免除

地域によっては回数制限があったり、児童扶養手当の受給者が条件であったりするケースがあります。

引っ越しや大掃除で大きなごみが出たときは、粗大ごみの手数料免除の制度が扱われていないか自治体に確認しましょう。

参考元:横浜市「粗大ごみ処理手数料の免除について知りたい」
参考元:江戸川区「粗大ごみ等処理手数料の免除」
参考元:府中市「粗大ごみ処理手数料の減免申請(粗大ごみシールの交付)について」

毎月かかる上下水道料金を割引

自治体によっては、毎月かかる上下水道料金の割引制度を実施しています。

例えば広島市で実施している水道使用量による減免対象の料金相当額や対象時期は、以下の通りです。

使用量 1ヶ月につき減免対象の料金相当額 2ヶ月につき減免対象の料金相当額
0〜10㎥ 水道料金891~946円
下水道使用料764~786円
-
0~20㎥ - 水道料金1,782~1,892円
下水道使用料1,529~1,573円

2ヶ月ごとに減免を受けたいとき、申請書の受付日によっては初回の減免額が1ヶ月となるケースがあります。

申請するタイミングで減免額が異なる可能性があるため、申請時に初回と今後の減免額を確認した上で手続きしましょう。

広島市で実施する水道料金の減免制度は、以下の通り扶養親族の人数による所得制限額が設けられています。

扶養親族の人数 児童の父母又は養育者の所得制限額 左記の配偶者又は扶養義務者の所得制限額
0人 459.6万円未満 628.7万円未満
1人 497.6万円未満 653.6万円未満
1人増えるごと 38万円加算した額未満 21.3万円加算した額未満

シングルマザーで子どもが1人いれば497.6万円未満、子どもが2人なら535.6万円未満、子どもが3人なら573.6万円未満が所得制限額です。

住んでいる自治体で水道料金の減免を行っていれば、所得制限額の有無を確認して市区役所で申請しましょう。

参考元:広島市水道局「水道料金等の福祉減免制度」

シングルマザーの手当でよくある質問

シングルマザーが対象の手当でよくある質問は主に以下の2つです。

  • 彼氏ができたら手当の支給は停止する?
  • 養育費をもらっていても手当は受け取れる?

シングルマザーで児童扶養手当をはじめとする様々な手当をもらっていると、彼氏ができたときに手当がもらえなくなるのではと心配する人も。

養育費をもらっているひとり親家庭は、シングルマザーを対象とした手当や制度を利用できるか知りたいものです。

シングルマザーになる予定の人やすでにひとり親家庭になり手当を利用したい人は、抱えている疑問を解消した上で手続きを進めましょう。

彼氏ができたら手当はもらえない?

交際しているだけで同居や金銭的支援がなければ、基本的に受給資格に影響はありません。

ただし交際している人と同居を始めると、事実婚として扱われる可能性があり、児童扶養手当の支給対象外になる恐れがあります。

対象外になっても続けて手当を受け取っていると、不正受給と見なされ返還を求められるケースも。

交際している人と同居を始める前に、必ず役所に相談し必要に応じて受給停止の手続きを行いましょう。

養育費をもらっていても手当はもらえる?

児童扶養手当は、養育費の80%の金額が本人の所得に加算されるので、所得制限を超えると手当がもらえなくなる可能性があります。

例えば年間100万円の養育費を受け取っていると、80万円が所得に加算される計算です。

所得制限内に収まっていれば手当は支給されますが、支給額が減るケースも。

児童手当は、養育費をもらっているか関係なく、所得制限と子どもの年齢に応じて支給されます。

養育費をもらうときは、児童扶養手当の申請時にもらっている金額を正確に報告しましょう。